今回の紹介本は、極楽征夷大将軍です。
【あらすじ】
第169回直木三十五賞受賞作
やる気なし
使命感なし
執着なし
なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?
動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。
足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて後醍醐天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。
一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。
混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。
【内容の難易度】
★★★★☆
ページ数:552
時代物ということもあり、登場人物が多く、親と子の名前が非常に似ている。
また、当時は幼少期と元服してからで名前を変える事が多く、混乱するかも。
【ヨムヨム所感】
本作ではそんな足利尊氏の幼少期から亡くなるまでを足利尊氏の弟、直義と執事である師直の視点から描いた1冊。
歴史の授業とか全然興味なかったけど、やっぱりこうして人間味が見えると非常におもしろい。
本作では、足利尊氏は戦や政治に興味などなく、ただただ家族とのんびりと過ごしたいだけのボケーッとしたお人好しとして描かれている。(非常に共感できる部分も・・・)
どうしてそんな人物が征夷大将軍になれたのか。それは是非とも本書を見て確認してみてほしい。
初の時代物小説ということで最初は出てくる言葉とか登場人物の名前の難しさに戸惑ったけど、途中から物語にぐいぐい引き込まれていった。
もう次の大河ドラマはこれでいんじゃないかなぁ。
ほんとに濃い、鎌倉殿の13人を見てるみたいでした。
本人にその気がなくても担ぎ上げられ、時代の波に揉まれ、もはや個人の力ではどうにもならない、ということがありありと伝わってくる場面では思わず、うわぁ・・・と声が漏れてしまいました。
個人的には赤松円心が好きでした。
いやぁ〜、ほんと、達成感と喪失感… おすすめです。
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